設計事務所で働こう 残業時間は?建築士の給料は?など

仕事

この記事はこれから設計事務所で働こうか迷っている学生や、新社会人として働きだしたひと、そしてかつての自分のために書いたものです。

設計事務所と一言でいってもアトリエ系、組織設計事務所、ゼネコンの設計部、工務店の設計部など様々な種類があり、例えば同じ工務店の設計部でも設計のすすめ方は会社ごとにおおきく異なります。

そのため、ここでは私自らの体験と他の事務所で働いている友人や先輩後輩のはなしをベースにしていきます。今回は残業と給料という切り口でかいてみました

地元の組織設計事務所に就職

私は学生の頃から漠然と設計事務所で仕事をしたいという想いがあり、計画系の研究室に所属し日々研究室の手伝いをしていました。とくにコンペなどの実績もなかったため、大手の組織設計事務所は難しいと判断し地元の組織設計事務所に入社しました。
今でこそ毎年求人をだし新卒を採用している事務所ですが、当時は3年に一度しか採用しない事務所でした。地方の組織設計事務所ではありますが、ポートフォリオによる書類選考のほか面接が3回ほどありました。その時の面接できかれたことは今でも覚えています。

「体力ある??」

もちろん私は「あります!!」と答えました。
そしてこの会社で働くことが決まりました。建築業界が体力が必要なことは学生時代からの課題の徹夜で承知していましたが、その後私は見事に過労で体調を崩してしまいました。

残業なんて当たり前(もちろん残業代なし)

設計事務所は残業が多いですか?という質問に対しては、「会社による。ただし残業が多い事務所が多い」と答えます。
世の中には残業がほとんどない設計事務所も存在します。わたしが2回目に就職した事務所がそうでした。でも一般的には残業が多い事務所は今でもたくさん存在し、残業代を払わないケースも多いです。これにはたくさんの要因があると思います。

1. 設計事務所は儲からない
2. 儲からないのでたくさん受注する。
3. 時間をかければいい設計ができると思っている。
4. 無駄な業務が多い
5. 人手不足

まず設計事務所って儲からないんです。そして設計に従事する人のなかには仕事がクリエイティブであればお金なんて二の次って人もいます。設計事務所が儲からない(大手組織設計や有名アトリエの番頭さんクラスは別)って話はまた今度しますが、儲からないということはそのまま自身の給料にも直結します。こうした悪循環が業界全体に様々な弊害をもたらしています。

話しはもどり残業についてですが、私の前の会社では残業代は未払いでしたが、残業時間はきちんと管理していたので、毎月どれくらい残業していたかみんな分かっていました。
コンペなどの有無により振れ幅はありますが、入社してからの3年ほどは月の残業時間が120~200時間くらいでした。先輩のなかには300時間を超える人もいたので完全に働く感覚がマヒしていました。

そして3年目にして無事鬱病になりました
今でこそ笑ってられますが、この時は本気で働くこと、建築とはなにか、色々考えました。

しかしこの残業だらけの働き方にも転機が訪れます。

設計事務所の働き方改革

働き方改革という波が私のいた会社にやってきたのです。
労働時間は過酷でしたが、みんなこの状況を何とかしたいと思っていたのです。働き方を改善しようと本腰をいれた理由は、会社の離職率の高さで一時期数人が同時に退職したことがきっかけでした。

そこからの動きは早く、まず残業代が払われることになり、払うからには残業時間を会社もきちんと管理するようになりました。
そもそも残業代を払わないのは違法です。残業代をもらうことに後ろたい人もいるかもしれませんが、それは完全に間違っています。そして残業代を払いたくない人の言い訳は大体詭弁です。
これから働く人も、今働いている人も労働基準法の概要はきちんと把握しておいたほうがいいでしょう。

この働き方改革により残業時間は大幅に減り、月残業時間が平均で50時間ほどに減りました。まだ一般企業からしたら多いかもしれませんが、それでも二分の一以下になったことは大きな成果です。

ちなみに2回目の就職先の工務店の設計部の月残業時間は15~20時間ほどです。

このように残業時間は会社ごとに異なるだけでなく、同じ会社であっても時代とともに変化していきます。ただ、働き方改革やコロナ禍の中でも以前として変わらない会社もあるため注意が必要です。

建築士の平均年収は??

ネットで建築士の給料を検索すると、一級建築士は平均640万前後とかかれていたり、事務所主宰者ではない勤務建築士は400万円未満だったりとまちまちです。
私の肌感覚でも同じような印象をもち、例えば30代半ばで年収400万円満たない人は意外と多いと思います。

では私の場合、組織設計事務所時代は一級建築士の資格はもっていませんでした。そのうえで、会社の業績にボーナスが年により大きく異なったことと、残業代が払われるようになったことなどからかなり変動的な状況でした。

そのうえで基本給となる金額が入社5年目で月収(額面)で24万円+残業代でした。
変動的な状況のため年収は350~450万円と年によってまちまちでした。

公共建築を多く手掛ける組織設計事務所の場合は、1物件あたりの設計監理料が高いため給料は高いほうだと思います。40代の先輩で500~600万円の間でした。

最近ではアトリエ系の設計事務所も常識的な金額が多くなってきていますが、個人的には要求する水準と比べるとまだまだ給料は安いのではないかなと思います。

住宅業界は組織設計事務所よりは給料がシビアだと思います。私が転職した工務店も一級建築士を取得たにも関わらず、会社としての年間着工棟数が減少していたため、給料は組織設計事務所時代よりは低かったです。特に住宅業界は年々着工棟数が減ることは明らかなため、大手ハウスメーカーといえど油断できず、地方の工務店はより厳しい状況になります。

設計事務所で働こう!!

どうでしたでしょうか?
残業と給料という切り口で設計事務所で働くことを考えたときに、働きたいと思ったでしょうか。ここに書いたのはほとんどが私の体験談です。
私は体調を崩したり、鬱になったり、転職をしたりしています。それでも今も建築という仕事をしています。やりがいだけでは仕事はできないですが、間違いなくやりがいのある仕事です。

そして業界全体も働き方が変わってきています
昔のような時間=クオリティの時代は終わり、設計事務所自体も経営能力(稼ぐ力)が求められています。そのため、私が入社した当時よりも格段に働きやすくなっているはずです。

なかには、いまだにブラックな会社があるため働く前に会社の給料、残業代の有無、離職率などは確認してください。
そして働いてうまくいかない場合は、すぐ会社を辞めてもいいと思います。
それくらい気軽な気持ちで働いたほうがかえって長く続きますし、業界的に転職が普通なのでまずは、設計事務所で働いてみよう!!

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