国産材の樹種別供給量で約50%を占める杉は、針葉樹を代表する樹木です。
針葉樹の特徴は、木の繊維が水を供給するパイプと樹体を支持する仮導管のみで構成されているため、年輪がくっきりとしていることが特徴です。
年輪をよくみると、材齢だけでなく多くのことが分かります。
杉の木は、まっすぐに育ち、樹齢に応じて太くなるため、長尺の材がとりやすく、構造材だけでなく造作材にも利用されます。
写真は樹齢700年を超す杉です。さすがに太く巨大で、神聖なものを感じさせられます。
しかし、東日本大震災の津波の影響により、海水を多く吸ってしまったため枯れてしまいました。近い将来伐採されるそうです。
年輪から分かること
杉の断面をみると、赤いと白の部分に分けらています。
赤い部分を心材(赤身)、白い部分を辺材(白太)といいます。樹木は中心から、外側に向かって成長していき、年数の経過した中央部分は赤くなります。心材は成長がとまった部分ですが、腐朽菌から身を守るため、固く丈夫になります。そのため、耐久性がある屋外の外壁で杉を使用する場合は、赤身の板を使います。
成長に伴い心材の部分は大きくなりますが、辺材の範囲は一定となります。
心材の特に中央部は年輪の間隔が広くなっているのが分かります。
生育後15年までは、成長が早いため、年輪の幅が大きくなり、この範囲を未成熟材といいます。それ以外の範囲を成熟材といい、強度も高くなります。
年輪をさらに細かくみていくと、密度の濃い部分と薄い部分があることに気づきます。
年輪は1年単位で形成されますが、春・夏は生育速度が速いため、年輪間隔が広くなりますが、秋・冬は気温の低下により生育速度が遅くなり、年輪の密度が濃くなります。
このように、気温により育成速度に影響を及ぼすため、南と北の地域では同じ杉でも違った材となります。
このように、年輪をみるだけでも多くのことが分かります。
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