これから社会人になる建築学生、新米建築士必読!!実務で使える住宅設計におすすめの本5選

建築

建築学生は普段からたくさんの建築本に触れる機会が多いでしょう。建築家の作品集から、SD選書、新建築、a+uなどなど。

実際に設計という仕事を始めてみると、これまでとは違った知識が必要なことに気づくはずです。
それは、実際に建物を建てるために必要な知識です。学生の頃は、実現可能かどうかよりも建築の可能性を広げる自由な発想が求められました。

しかし、実務の設計ではそれだけではダメです。

意匠設計であっても設備や構造の基本的な知識は求められますし、住宅設計の場合は意匠設計者が構造と設備のすべてを一人で担当するケースもあります。

そこで今回、私が実際に住宅設計をする上で何度も参考にし、助けてもらった書籍を5選、意匠・設備・構造の分野を網羅する形で選びました。

① 堀部安嗣 小さな五角形の家:全図面と設計の現場

著者:堀部安嗣

価格:3800円+税

この本は、建築家の堀部さんが設計した「小さな五角形の家」の設計プロセスから全図面が掲載されている貴重な本です。一つの建物だけに焦点をあてて書かれているの本は珍しいです。

まず、図面の細かさに驚かれるかもしれません。

図面にはすべての情報が詰まっています。それはお客様の要望(想い)、工事費や施工をする上で必要な情報、設計のコンセプトなど抽象的なことから具体的なことまですべてです。

図面の内容が薄いと、出来上がる建物も希薄なものになりますし、トラブルにつながる場合もあります。

この本は建てるのに必要な情報がすべて詰まっています。そして図面の意図も詳しく説明されているため非常に勉強になります。

② 伊礼智の住宅デザイン DVDデジタル図面集

著者:伊礼智

価格:2800円+税

住宅設計の大御所、伊礼さんの書籍です。伊礼さんの建物は雑誌「住宅建築」に掲載されるような奇抜な建物ではありませんが、どこか懐かしく、それでいて洗練された心地の良い住宅です。

この本は今まで伊礼さんが設計した住宅を、部屋(LDK、水回り)ごと、部位(外壁、窓)ごとに分けて工夫して点や納まりについて説明されています。

それだけでも買う価値はありますが、この本の最大の特徴はデジタル図面集がついていることです。

「元吉田の家」と「琵琶湖湖畔の家」の2件の図面をダウンロードすることができますが、元吉田の家は図面枚数が249枚もあります。

図面にはすべてが詰まっています。この図面からは意匠だけでなく、設備図、構造図もついているので総合的に住宅設計について学ぶことができます。

③ エアコンのいらない家

著者:山田浩幸

価格:1400円+税

なかなか思い切ったタイトルです。私はこの本を進めることにより、エアコンのいらない家を推奨しているわけではありません。

この本はイラストと文章がとにかく簡潔で、一般の人が読んでも分かりやすく書かれています

エアコンのいらない家では、断熱気密をしっかりした上で、自然通風、自然採光を積極的に利用して夏涼しく、冬暖かい家をつくりましょう!といった趣旨で書かれています。

学生の頃に学んだ環境工学の知識を、実際の実務で役立てるための基本を分かりやすく学ぶことができます。

例えば「熱伝導率」をお客様に説明するときに、分かりやすく説明することができますか?この本を読むとそれが出来るようになります。

④ ストーリーで面白いほど頭に入る建築設備

著者:小林苗 監修:山田浩幸

価格:1800円+税

建築設備は衛生、空調、電気のことを指しますが、この3つについてマンガで分かりやすく書かれているのがこの本です。

建築設備の入門本は数多くありますが、これだけ住宅に特化し実際に使う知識について分かりやすく説明している本はないと思います。

現地調査で確認すべき項目、給水管の口径、給湯器の号数など実務で実際に使うものばかりが書かれています。

⑤ 最新版 木造住宅ラクラク構造計算マニュアル

著者:飯島敏夫、 齋藤年男、多田修二、千葉洋一

価格:2400円+税

住宅設計では構造も意匠設計が担当します。そもそも住宅業界では意匠、構造、設備といった意識があまりないように感じます。

これは設計する人がきちんと構造、設備に対しても責任を負わないといけないということです。住宅業界は特に構造に対して適当な認識の人が結構います。適当というのは正しい知識をベースとせずに経験をもとにした設計をすることです。これから住宅設計に携わる人には、正しい知識をもとに経験を積んでほしいと思います(自分もまだまだ未熟ですが…)。

住宅の構造の検討は壁量計算とN値計算です。この本は、実例をもとに結果だけでなく計算過程も記載されているので初めて壁量計算する人でも分かるようになっています

そして壁量計算といった基本だけでなく、耐震等級3の算定で必要な床倍率の求め方から、部材断面の選定方法、基礎の配筋の求め方も詳しく説明しています。
今は壁量計算だけでは不十分で、耐震等級3を確保するために他の検討が必要となります。

この本はラクラクとうたっているだけあって分かりやすく網羅的に書かれているため最初の構造の本はこの本がおすすめです。

番外編 建築家おすすめの文房具

・Rollbahn(ロルバーン)ポケット付ノート
・機能的でおしゃれなペン5選

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました