那須-水庭を巡る(Art Biotop)

植物

実は栃木県は有名な建築家による作品が多くあります。
その中でも今回はちょっと変わった場所をご紹介いたします。

Art Biotop(アートビオトープ)の中にある「水庭」です。

場所は栃木県那須郡那須町高久乙道上2294-3に位置し、電車を利用する場合は東北新幹線・JR那須塩原駅より無料のシャトルバスを利用することができます。

アートビオトープは水庭の他にカフェ、レストラン、ホテル、ガラス工芸や陶芸などを体験できるスタジオがあります。

水庭やレストランは宿泊しなくても利用することができますが予約制となっています。宿泊者は何度も自由に見学が可能です。
ちなみに私は4回行き、妻には「また行くの?」という目で見られましたが一緒に行ってくれました。

Water Garden -水庭-

水庭は建築家の石上純也氏による設計された庭園です。
一般的に庭園の設計は造園家やランドスケープデザイナーが担当したりしますが、建築家による設計というのは驚きです。

建築家による設計のため、デザインプロセスは通常の建物の設計と同じく、条件・要望を整理し、コンセプトを考え、模型や解析ソフトを使用したシミュレーションにより設計をしています。

石上氏によれば、空間をつくる要素としてコンクリートだろうと、鉄骨だろうと、生えている樹木だろうとあまり変わらいそうです。

もともとこの場所はクライアントである二木倶楽部が所有する牧草地だったそうで、設計当初は畑と庭がパッチワークのように入り交ざったものが計画される予定でした。それが条件等の変更により、純粋な庭園として変わりました。

樹木の秘密

水庭は写真のように無数の小さい池と樹木から構成されています。
この一見ランダムに配置された樹木は、目線から見える風景の木々の重なりや、視界の抜けが人工的に感じないように、模型やコンピュータシミュレーションにより詳細に検討されたそうです。

実際に散策してみると、人工的に配置された感じはしない一方、自然に生えてきたかたちとも違う不思議な感じがしました。

樹種はすべて落葉樹で、多くはコナラやブナなど近くに敷地にあったものを移植したものです。

実はここにも隠された秘密があります。

これほど大きい樹木を移植する場合、きちんと根付くまでに支柱が必要になります。この支柱は地中に隠されて根を固定しているのです。

そしてもう一つ。コナラやブナは水辺に近接して育成することが困難なのです。
そのため、この池一つ一つにきちんと防水がされています。
よく見ると池と草の境界のところに布のような防水層(ベントナイト防水シート)があるのが分かりますが、建築を専門にしていない人は気づかないと思います。

池の秘密

この大小様々な大きさの池にも秘密があります。

建物の場合、空間の区切り方は主に壁です。
壁に囲まれることによって、人は一つの空間として認識するのです。他にも空間の区切り方はありますが、石上氏の場合は過去に「神奈川工科大学KAI工房」という施設で、壁ではなく、無数の柱の密度によって空間を分けました。
この水庭の樹木は配置はその時に使用した柱の配置の検討に使用したシミュレーションを応用したものです。

水には樹木の密度のコントロールの他に池による境界のコントロールにより複合的に空間をつくっています。
これは無意識に訴えかけるデザインのため、散策していると一つ一つの空間を認識することはないでしょう。しかし、ちょっと足を止めて周囲を見渡したりしている位置が予め考えられた位置だったりします。

池と樹木が近接しているのも特徴的です。近接して植えることにより池に覆い被さるように枝が伸び、どの角度から池をのぞき込んでも樹木が池に移るようにデザインされています。
この池に反射した木々や空の風景やとても美しいです。

あと夏の時期は池にオタマジャクシやカエルが生育しているので、池を眺めているだけでも飽きません。

レジデンス

写真の左がカフェやショップ、受付をする場所で、
アートビオトープのレジデンスは長期滞在にも適したシンプルな客室になっています。
アートビオトープに宿泊する場合はこのレジデンスを選ぶか完全分棟形式のスート・ヴィラに泊まることができますが、スイート・ヴィラは正直高いため、お金を貯めて次回にしようと思いました。
宿泊していないため、中は見れませんでしたが、スイートヴィラは世界的な建築家・坂茂氏による設計です。

レジデンス内の共有部です。
宿泊者しか中に入ることはできません。自由に使える書架やピアノ、長期滞在を想定したランドリーもあります。
飲み物も置いていたため、ゆっくりとくつろぐことができました。

客室内部です。ミニキッチンをついているため簡単な料理は出来るかもしれません・窓を開けると近くを流れる川の音が聞こえて癒されます。
窓側にバスルームがあるため、朝方のシャワーは気持ちがよかったです。
窓の向こうは川と森なのでプライバシーは心配いらないはずです。

中庭にある全長8mある屋台です。これも有名建築家ユニット・アトリエワンが手掛けたものです。椅子は自由に座ることができ、文庫本と苔玉のセットを販売しています。

夜も非常に雰囲気があります。
ホテルで買っているワンちゃんがいつも訪れた人を暖かく迎え入れてくれます。

食事

夕食のメインディッシュです。この前に前菜、スープ、パンが提供されます。
最後はもちろんデザートと飲み物つきです。
美味しくお腹いっぱいいただきました。

朝食の写真です。

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