コーヒーの科学(熱について)

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焙煎とは生豆に熱反応を与える工程です。
焙煎を理解するには、まず熱についての基本を押さえることが重要です。
熱について勉強すると、あらゆるところで応用が効ききます。建築でいえば断熱とか。

熱の伝わり方

熱の伝わり方を3つに大別すると次のようになります。

①伝導:モノから伝わる熱。例えばフライパンの鉄を通して伝わる熱。
②対流:エアコンによる空気の循環や、お風呂の熱の対流による伝わり方。
③輻射(放射):太陽光や遠赤外線など。

味噌汁を作る場合は、具材への熱の伝わり方として、①の鍋と水の伝導熱、②の水の循環による対流熱の両方があります。

伝導は伝える素材によって熱の伝わりやすさが変わり、熱伝導率によって熱の伝わりやすさを知ることができます。家庭で焙煎する場合に使用する、ゴマ煎り器は伝導により熱反応を起こします。

対流は、気流や水流などの速度や風量の影響をうけます。豆屋さんで使用する熱風式と呼ばれる焙煎器は、この対流熱を利用しています。

たまにきく直火焙煎や、ネットでよく売られている網の焙煎器は、輻射熱を利用しています。

遠赤外線について

遠赤外線は、よく「芯まで温まる」という表現を使いますが、これは大きな誤解です。
遠赤外線は表面しか温めません。温められた表面部分が高温になり、その熱が中まで伝導して芯を温めるプロセスとなります。
焼き鳥や、焼き魚を想像すれば分かりますが、表面はカリッとして、中が柔らかいのはこのためです。

しかし、コーヒーの焙煎にとってはこの遠赤外線というのは、非常に難しい熱です。
焙煎は、豆の芯までふくめて安定的な熱反応によってなされるため、遠赤外線(直火)のように、表面のみに熱を伝える熱源は、安定とは正反対となります。
つまり、表面が黒くなり、焙煎が成功したようにみえても、中まで熱反応が進んでいない可能性があります。逆2ハゼまで進んでいるころには、表面が焦げているなんてこともあります。

まとめ

コーヒーを焙煎するのに適した熱の伝わり方は、伝導と対流なのがお分かりいただけたでしょうか。
家庭で焙煎する場合は、対流熱での焙煎は難しいため伝導熱を利用した「ゴマ煎り器」での焙煎が、簡単かつ美味しくできます。

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