最近では、新築の戸建て住宅の設計よりも、マンションのリノベーション(以下リノベ)の設計が増えてきています。
実際書店にいくと、リノベ関連の書籍はここ数年で増えてきているの感じます。
中古物件を購入してリノベする人もいれば、ライフスタイルの変化に伴い、間取りを変えるといった人、リフォームですが寒さ対策としてインナーサッシを設置するなど様々です。
では、リノベをする場合は、どのようなことに注意すればいいでしょうか?
今回は3つに絞ってまとめてみました。
マンションリノベーションで注意すべきこと3選
その1)床の遮音性能には注意
マンションと戸建てのリノベーションの違いの一つに、マンションの場合、工事前に管理組合もしくは管理会社に工事書類の提出が必要があります。
管理組合は、工事内容がマンションの管理規約に適合するかどうか確認します。管理規約はマンションごとに様々ですが、多くの場合、床に対して遮音性能を求めています。
それは、下階に対して、足音や物を落とした際の衝撃音等で迷惑をかけないために設けられています。
床の遮音性能には、L45、L40があり、L45よりもL40のほうが遮音性能が高いです。
リノベーションをする場合、カーペットからフローリングへの変更を要望されることが多いです。
遮音性能を満たさないフローリングは多いため、遮音フローリングを採用しなくてはなりません。
無垢のフローリングは、それ自体で遮音性能を満たすものはないため、遮音マットなどと組み合わせる必要があります。
フローリング自体NGのマンションもあるため、最初に管理規約をきちんと確認しましょう。
その2)PSの位置に注意しよう
マンションの専有住戸内の壁は、ほとんどの場合、構造上壊しても支障がないため、自由に壊し間取りを変えることが可能です。
唯一壊せないスペースが、パイプシャフト(PS)です。PSは上下階をつなぐ、給水管や排水管が通っています。主に水回り(キッチン、トイレ、ユニットバス)の近くにあります。
PSの位置は、間取りの変更に影響を及ぼすことは当然ですが、キッチンの向きを対面に変更する場合にも影響します。
PSの位置を知らずに設計をする設計者はいませんが、リノベーションを依頼する場合は、ひとつ年頭に置いておいてください。
その3)壊してはじめて分かることもある
設計最初、必ず現況の図面を確認すると同時に、現地調査を必ず行います。
図面を確認する際は、平面図だけでなく、断面図、構造、設備などすべてが分かる図面を管理会社から借りますが、現地と整合性を確認すると、結構違う場合があります。
見えるところは、違う箇所を図面に正しく反映して設計できますが、不整合している場合、大体見えないところも現況図と違っている場合が多いです。
あまり問題にならないことのほうが多いですが、想定外の不整合により、工事中に設計内容を変えることもあります。もちろんお客様に説明し、了承をもらいますが。
壊してはじめて分かることもあるため、そういうものだと思ってください。
設計者の役割は、なるべく想定外のことを予測すると同時に、不測の事態に対して臨機応変に対応する能力が求められます。
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