日本は、国土の2/3が森林という世界有数の森林大国です。
戦後、国策により杉、ヒノキなどの植林が大々的に行われ、特に杉は国産の供給量一番となりました。
しかし、1964年の外国産材の輸入全面自由化により、国産材の自給率は落ちていきました。今でこそTPPで関税をどうするか議論していますが、外国産材は関税なしで輸入され、国産材はコスト面の競争力で外国に負けてしまいました。
植林する際は、最初密集させて育てるそうです。それは木同士を競争させ、よりたくましく成長させるためです。ある程度育ったところで、間伐をすることにより、日の光が届く育成に最適な環境が出来上がります。
放置林の問題
外国産材の輸入全面自由化による問題は、広範囲な放置林を生み出したことです。
木を育てる際は、間伐を前提としていますが、外国産材を使用したほうが 建築費を安く抑えられるため、間伐をすると採算が合わないという事態に発生してしまいました。
放置林は、密集して育った人口林のため、自然光が届きにくいため、根をはらず土が痩せていきます。自然光が届かない状態が続くと、植物も育たず、動物も寄り付かないため、一見自然豊かに見える森の生態系が実は崩れているといったことが起こります。
痩せた土は、雨水で流されやすく、土砂崩れなどの原因となります。
杉の放置林の表土には、かろうじてシダ植物が生えますが、面白いことにヒノキの近くには、植物はあまり育ちません。それは、ヒノキが根から植物生育阻害物質を出しているからです。
杉とヒノキの違いはほかにもあります。杉は枯れた枝は自然に落ちますが、ヒノキは、写真でもわかるように枯れた枝はそのままの状態となります。そのため、ヒノキは枝払いをしないヒノキは、死節が多い製材として使いにくい木となってしまいます。
放置林にはこのように多くの問題を抱えています。
きちんとした木材を手に入れるだけでなく、自然環境のためにも間伐をきちんとし、手入れをしながら育てていくことは非常に重要です。
写真のように、間伐された森にはきちんと自然光が表土まで届いていることが分かります。
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